ペットショップ動物の新規入荷と検診

当院が顧問をしているRemixペポニ(ナゴヤドーム店とmozoワンダーシティー店)さんが新規入荷した動物をたくさん連れて来院しましたので、その検診の模様をご紹介します。
 
いつも、いろんな動物を入荷し(中にはかなり希少な動物もいますので、難しい事もあります。エキゾチックアニマルを診ている宿命です)、すごい数の動物を連れて検診をします。大げさに言えば検疫みたいな感じかな。名古屋からですとちょっと遠いですが、きちんとこなしておりショップさんとしては頑張っているので応援しております。今回もたくさんの動物種を連れて来てたのですが、その中からよく入荷するポピュラーなヨツユビハリネズミ(ピグミーヘッジホッグ)の事だけについてご紹介します。


入荷したヨツユビハリネズミ(ピグミーヘッジホッグ)
画像 画像
今回はいろんなカラーです。
ソルト&ペッパーのスタンダートカラーやシナモンカラー、プラチナカラーもいます。


体重測定
画像 画像
ハリネズミは完全に丸まってしまうと毬栗(いがぐり)状態になり、なかなか全体を見ることができません。無理に開けようにも開くものではありません。ある方法(?ヒ・ミ・ツ?)で開かせて、体がきれいに広がった個体から順番に1頭ずつ体重を量り、体格や顔や四肢、針毛状態、腹側など外観をしっかり診ていきます。その後、検便やダニチェックなど更に詳しく検診していきます。
画像
手に乗るくらいまだ小さいです。


丸くなった状態
画像
左側が頭で右側がお尻です。ハリネズミは防御体制になると見事に丸くなりガチガチに固まります。これが有名な毬栗状態です。まだ小さな幼体ですが、「シューシュー」と威嚇音は発しています。


検診終了
画像
全頭検診が終了しました。
終わったらなんとなくリラックスするのか?広がり始めます。


 Remixペポニさんでは、入荷時にこのように検診を行います。
今回のハリネズミの検診では皮膚検査だけがアウト(不合格)となりました。疥癬ダニの寄生です。多頭入荷しているので1頭からダニの寄生が見つかったら、全頭一斉に治療対象となります。1ヶ所から入荷して同一のスペースにいる以上、全頭感染とみなします。早速、駆虫治療を行いました。この治療は1回では不安定なため、確実を期するには2回行う事となります。今回は軽い寄生状態のため皮膚もまだ悪くなく、治療は駆虫だけで大丈夫です。

 ハリネズミは疥癬ダニが寄生している事は非常に多いです。このダニは皮膚に穴をあけてトンネルを掘り繁殖します。肉眼では見えない顕微鏡で確認するダニですが、重度寄生になるとダニの数が異常に増加していますので、ダニ同士が押し競饅頭状態でうごめきあって針毛が動いているのが見える時もあります。それぐらい寄生されたハリネズミは痒くて痒くて眠る事もできなくなるので、痩せる場合もあり命の危険になります。もちろん皮膚の状態は最悪です。フケは粉状どころか、かさぶたや薄皮がめくれあがってボロボロ落ち崩れ、針毛が脱毛してなくなってきたり、皮膚がただれてくる事もあります。よって、ダニの寄生は一大事です。ダニが確認されたら数が異常増殖する前に駆虫してあげる方が望ましいです。

 もちろん健康状態が良い動物ばかり導入できればいいのですが、このようにペットショップに入荷する時点で、既に病気などを持っていることがあります。こういう事があるのは暗黙の了解でもありますので、Remixペポニさんでは新規導入時の検診を重視しています。決して悪い動物を販売したいわけではないので、できる限りの検診などを行って皆さんが安心してお迎えできる準備をしています。ただ、ショップでは当然、生体に価格をつけなければなりません。高額では売れないので、皆さんがお迎えしやすい価格設定をしています。検診にはいろいろあり、高度な検査は料金がかかります。生体によりますが、レントゲン検査や血液検査、場合によりCT検査まで実施する事は可能です。でも生体価格との関係上、このような高額な検査はできません。中にはお迎えしやすい価格設定をするために一切検診をしていない動物もあります。ショップも当院もいろいろやってあげたいのはやまやまですが、コスト面を考えると難しいことです。一般的にお迎えできる状態までの検診とお考えください。そして、どれだけ検査をしたから、もうこれで絶対大丈夫だという保障はありません。

 今回のハリネズミのように獣医師の検診ではアウトとなった動物は治療スケジュールを組み治療して元気にしてあげています。また、全ての動物が直ぐ売れていくわけではありませんので、ショップに長く居れば居るほどやむをえず病気やケガをすることもあります。その度に私達はその動物を治療しております。費用や手間をかけています。

 動物をお迎えするにふさわしくない状態ではお渡ししているつもりはないのですが、問屋から仕入れて販売するまでの短期間では、先天性疾患や潜在的な疾患について確認するのは特に困難です。そして、異常や症状を出していなければ通常の検診しかやっておりません。中には症状を出していなくてもレントゲン検査で異常が分かる事もありますが、全ての個体にここまでの検査はできません。レントゲン検査は放射線をあてる事になるのは皆さんもご存知だと思います。通常はレントゲン検査をしなければならないほどの問題はなく、みんな元気なわけです。そのように元気なのに小さな幼体にやたらめったら放射線をあてるわけにもいかないのが現状です。

 絶対に大丈夫な物事って世の中にそうそうあることではないですよね。ないのかもしれません。完璧な健康状態である事、それが一番の理想でしょうが、理想と現実は違います。スタッフの皆さんもすごく勉強されていますが、頑張ってるショップさんにも限界がある事をご理解いただければと思います。また、ショップさんは多くの方にお迎えしやすい価格でリスクを背負って販売されています。エキゾチックアニマルをこれからお迎えしようと思われている方は、お迎えしやすい価格である以上はある程度のリスクが存在することもご承知おきください。

画像
 新しくお迎えした方は、その時点から自分が親代わりとなります。特に購入してすぐは環境の変化が著しいために何かが起きることが多い時です。生きている以上いろんな事が起きます。それは覚悟しておかなければなりません。その時その時、可愛がってる動物に必要な事があれば向き合ってあげてくださいね。